研究室に入るということ

こんにちは.久しぶりの村尾@助教です.

イベント報告や会議参加報告が多いのは嬉しい限りですがそればかりというのもアレなので,今日は研究室に配属されることについて少し書いてみようと思います.(若い学生向けの内容です)

研究室を選ぶとき,いろんな要素を考えるでしょう.
おそらく一番は研究内容だと思います.研究室ですからね.
自分のやりたい(知っている)ことが出来る研究室に入りたいですよね.逆に興味ない(知らない)ことはやりたくないですもんね.

でも,その「知っている」と「知らない」の度合いって,その研究分野のどれくらいですか?
100を全部知っているとすると,知っている人でもせいぜい5~10ぐらいじゃないでしょうか.

研究は最終的には業績にすることが目標です.業績とは学術論文誌や学会での発表です.
論文誌や学会発表に採録される(受かる)ためには,その研究に「新規性,進捗性,有用性」といった性質があることが求められます.
言い換えると,やりたいことが技術的に可能だけども既存の技術をただ組み合わせて簡単にできたり,ちょっと改良しただけで出来ましたよ,というのでは新規性や進捗性はありません.
またそれが産業界や国民にフィードバックされうる有用なことであることも重要です.少なくともどれかの性質はもっている必要があります.(他にも記述の正確性やデータや評価の信頼性というのもあります)
業績になるまでの過程でも色々あって,研究室の財政的に可能かどうか,他の研究機関の関連研究ですごい規模でやってたりしないか,そもそもその分野はオワコン...なんて研究室配属前には知らないですよね.

その程度の偏った知識だけで研究室を選ぶと少し危険かもしれませんということです.
さらに,研究室を紹介する側も皆さんに来て欲しいので少し誇張して,学生が興味有りそうなことだけを言うかもしれません.
実際に配属されると,自分が興味を持っていた研究は実はその分野では廃れ気味だったり,既に先輩がやってたり,研究成果がある程度出ていて新しくやることがなかったり,研究室的に他にやってほしいテーマがあったり...
ということで気づいたら全然違う研究をしていたりということはあります.

別にこれ自体は悪いことではないですが,配属前に研究内容だけで研究室を選んで,超期待して入った場合にはダメージが大きいですよね.
ですので,研究内容だけじゃなくて,皆さんが感じたものに正直に選んだほうが良い選択になると思うのです.
例えば,
・研究室の雰囲気
・先輩,教員の雰囲気
・建物,部屋の綺麗さ
・研究室行事の楽しそうな感じ

研究に関連して
・論文や学会発表の数
・研究予算の額
なんてのも指標にはなると思います.
でも,どの論文誌や会議がすごいかなんてわからないですよね.予算の額もそんなにおおっぴらにはしませんし.

4回生+修士2年間を合わせると3年間在籍する研究室を選ぶことになるのです.
研究室は研究だけじゃないです.
就職気になると思いますが,研究内容で就職の結果なんてほとんど変わりません.

まとめると,研究内容だけで決めんなということです.それだったら一番遊んでるところにしたほうがいいくらいです.

あ,あとタイトルが「研究室に入るということ」なので,入った後のことも少し.
研究室に入るということはゆるいながらも組織に入るということですので,発言・行動には注意しましょう.
これまで大学の一学生だったのが,○○研究室の学生となるのです.
不祥事を起こすと当事者が処分されるだけではなく研究室の教員,風評なども含めると先輩や将来の後輩にまで濃く及びます.
「tweet」ボタンを押す前に一瞬躊躇するようなら押さないこと.(この下のtweetボタンは押して結構です)
何がOKで何がNGかは先輩に聞いてください.